聖女の曾孫
「ええ。なんでも、破談になって私への愛に気づいたんですって。馬鹿を仰らないで遊ばせという気持ちですわ。シフォヴィ領が穢れます」
「領土が広いから強気なんだろう。騎士の称号も賜ったから尚更」
「実力はある方だと思いますよ? でも、愛がありませんから」
「接近禁止令でいいのか?」
「ええ」
「……勇者崩れのほうが、まだましなんだな」
「ええ」
鋭い眼差しで逡巡し、ヴァクーニが重々しく声を発した。
「わかった」
痺れる……。
この低音ボイスなら処刑宣告されても天国に逝けるわ。