聖女の曾孫
「よし。では戻る。存分に励んでくれ、フルグアス」
「はぁ~い♪」
「ふ」
ヴァクーニが微笑んだ。
握った羽ペンを取り落とすほどには、素敵……!
「古文書は幸せだな。愛に溢れた古女房がいて」
え。
「……古、女房」
傷ついてなんかいない。
ただ、軽く失恋したような気持ちなだけ。
〝王の天秤〟は〝古文書の古女房〟に目礼し、張り詰めた空気を背負って古書を去った。
「……古女房?」
やだ。
ババ臭いわ!