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車から降りると僕と同じ制服の人たちが沢山いた。


まぁ、当たり前か。こいつらも今日入学式だもんな。


僕は足早に一人ひとり抜いて、校門へと向かって行く。

歩いている途中多くの桜が散っていた。


咲きたいと思って冬を乗り越え咲いたと思ったら、その途端に散っていく。
これが常識なのか?
だったらこの世は儚いことだらけだな?

「やーまーとー。」

朝からこんなにテンションが高いのはこいつしかいない。


あいつは染めたての栗色の髪をなびかせながら、こっちに向かって走ってくる。


「優太、朝からウザイ。」

凪優太《ナギユウタ》
中学からの唯一の親友。
いつもテンションが高く、面倒臭いが僕の事を分かってくれて、いつも相談に乗ってもらっている。
そして優太は僕が持ってないものを持っている。
それは“笑顔”。

優太は僕が笑わないのを知っているから、きっと僕といるときは笑顔でいてくれるのだろう……。


「ウザイとか酷いし。」


僕が言ったことに優太は凹んでいたが、僕は無視して歩き続けた。

 

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