春永すぎて何が悪い?
「玉手さんの声って場を明るくするし、店にいたらいいなーって思うんだよね。」

そう言って及川くんは視線を目の前の食べ物に移した。

「口が上手いよねー。」

私も照れて食べることに意識を向けた。

賑やかな4人の飲み会が終わる。
他の2人は終電の関係で慌ただしく帰る。

道路に及川くんと残る。

「玉手さん、終電は?」
「うち、すぐそこなの。」
「じゃー、もう一軒行きますか。」

えっ。

少し驚いた顔をしたかもしれない。
及川くんが私の方を見る。

「いっぱい話そうって言ったじゃん。」

笑って先を行く。
私は少し小走りで追いかける。

どうしよう。
ちょっとドキドキする。

いけない気もしながら、好奇心が勝ってしまった。
< 13 / 61 >

この作品をシェア

pagetop