春永すぎて何が悪い?
及川くんは笑う。

「だから龍樹がダメだったら、いつでも来てよ。」

そこまで言い切って、パッと表情が明るく変わった。

「よし、じゃあ、帰るわ!」

及川くんは「じゃ。」と笑顔で片手を上げ、その場をサラッと去っていく。

置いてけぼりにされる私の脳内。

私が決めないといけないんだ。
及川くんの気持ちを知ってしまった以上、ちゃんとしないと。

私も龍樹にちゃんと気持ちを伝えないといけない。
ちゃんと話し合わないといけない。

中途半端な気持ちで及川くんと会い続けちゃいけないことを知った夜。

見上げると、月がよく見える綺麗な夜だった。
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