春永すぎて何が悪い?
可愛らしいなあ。
いい子だなあ。

俺みたいなアラサーとも話してくれて。

「うちのコーヒー豆置く?」

ダンさんが突然カウンターの向こうから会話に混ざってきた。

「置きますよ、置いていいなら。」
「一番目立つところに置いて。」
「いや、置く場所は俺が決めますけど。」

ダンさんが笑って消える。

そういうの、全然考えてなかったなあ。

服ばっかり見てきたから、服でしか考えたことなかった。

「でも俺、雑貨とか疎いんですけど。」

りっちゃんが辛さ7のチキンカレーをコトンとテーブルに置く。

目がほんの少しの間合う。

「私、大好きですよ?」

ピコーン。
ゲーム音が頭の中で鳴った。

「りっちゃん、教えてよ。女ウケしそうなやつ。」

そうだ、今の店づくりに必要なのは若い女の子の声だ。

「教えるって何ですか?」
「オススメのお店とか。」

俺がそう言うと、りっちゃんはなんとなく少し困ったような顔をする。

もしかしてセクハラで訴えられたりすんのかな。

そんなことあったら、奈穂ちゃんに回し蹴りされそう。

一瞬そんな心配もしたけど、最終的に「いいですよ。」と答えてくれた。

今度の定休日、りっちゃんにオススメのお店を教えてもらうことになった。
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