春永すぎて何が悪い?
満たされない夜
仕事終わり。
今日も疲れた。

足がパンッパン。

「ただいまー。」と言うものの、全然返事はない。
暗い寝室を覗くと、龍樹が既に寝ていた。

そっか、今日は水曜だから休みだったのか。

珍しいことだった。

「ただいま。」

そう小声で呟いて龍樹の寝顔を見る。

おっきな子どもか。

グッスリ寝入ってる顔。

「龍樹。」

反応はない。

キスしちゃうよ。

心の中でそう言いながら、ゆっくり顔を近付ける。

すごくダメなことのような気がする。

ねえ、龍樹、昔みたいにイチャイチャしようよ。
昔みたいに後ろからギューッと抱きしめてよ。

そう思いながらキスをした。

当然起きることもない。

私の片想いなのかな、これ。

隣に寝転がってみる。
けど、龍樹は全然起きる気配ない。
腕を体に回してみる。

よく寝てる。

「龍樹、襲っちゃうよー。」

寝室に虚しく響く私の声。

私って何なんだろう。
もう女として見てもらえてないのかな。
他に好きな人でもできたのかな。

上体を起こして、下半身の方へ移動する。

気持ち良さそうに寝続ける龍樹。

私が変なのかな。
私だけ求めてるのかな。

龍樹の足側から布団をめくって、スウェットのパンツに手を掛けた。
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