春永すぎて何が悪い?
「奈穂さんと長いですよね。」

バイトの安くんが服を畳み直しながら突然言ってくる。

俺はタラタラと展示会の案内に目を通す。
たまにブランド名を見ては、専門学校時代の友達を思い出してネガティブになる。

「他の子考えないんですか。」

安くんが続けた。

俺は展示会の日にちをチェックしながら答える。

「なんか全然そういう興味がないんだよねー。」
「他の女の人に目移りしないんすか。」

まるで、長く付き合ってたら冷めるでしょと言わんばかりの口調。

俺は安くんを見る。

「ないねー、全然。奈穂ちゃん以外の人、全然目に入らない。」

「そんなことあります?」

安くんはやることなさげに俺のところまで歩いてきた。
口元が笑ってる。

「ぶっちゃけね、もう俺今性欲自体ないの。エロいことにも女の人にも興味がない。ゲームしてる方が楽しいくらい。」

俺はハハッと笑ってみせた。

ないこともなかったんだけど。
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