春永すぎて何が悪い?
責任
自慢じゃないけど、奈穂ちゃんと俺はこの10年間、意外と見かけによらず妊娠騒動を起こしたことがない。

まあ、最近はご無沙汰だったから妊娠以前の問題だけど、お盛んだった頃にもそんな騒動になったことはない。

俺がちゃんとしてたっていうより、奈穂ちゃんにガッチガチに管理されてたからだ。

永遠の憧れ「中出し」を許されたことがないし、万が一してしまったら飛び蹴りを喰らうんじゃないかと思ってる。

そんなこんなで、今のところ避妊率100%を誇ってる。

そして今も、俺の頭の中はどのタイミングで外に出すかでいっぱいだった。

この一番気持ちいい時に離れるのはまあまあ悲しい。
けど慣れた。

俺が奈穂ちゃんから出ようとした時。
奈穂ちゃんがグッと俺の胴体に足を回してきた。

「奈穂ちゃん、ごめん俺もうイキそう。」

2本の足で固定された身体。
暗闇で目が合う。

「責任取りたくないの?」

俺の大好きな奈穂ちゃんの猫のような目。
昨日といい、今日といい、奈穂ちゃんがなんか可愛い。

「取る。取ります。」

そう言った時。

あ・・・

遅かった。
俺は声と同時に出してしまった。

人生初体験。

奈穂ちゃんが、あの頑なな奈穂ちゃんが、やっと受け入れてくれた。

よく耐えた、この10年間。

あれ、俺今奈穂ちゃんになんて言った?

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