春永すぎて何が悪い?
男女で入れる店作りたかったのに、何やってんだろ。
可愛いと思って仕入れても売れない。
そもそもこの店に女がそんなに来ない。

「俺、女心とか全然分からないんだよねー。」

俺は天を仰いだ。

「10年続いてる人がよく言いますよ。」
「奈穂ちゃんもよく俺と付き合ってくれてるよ。俺が女だったらこんなフラフラしてるの、嫌だけどね。」

服飾専門学校行ったのにロクに就職せず、海外行ったり、フリーターだったり。

自由過ぎたかなあ。

だから奈穂ちゃん、俺のこと好きじゃなくなっちゃったのかなあ。

「でも俺、奈穂ちゃんにフラれたら、誰とも付き合えない気がする。」

俺の言葉を安くんは鼻で笑う。

「女何人いると思ってんすか。」
「でも奈穂ちゃんみたいにかっこいい子はなかなかいない。」

初めて見た時のガツーンとしたインパクト。
ギャルの帝王みたいでめっちゃかっこよかったなー。

そして今も仕事に夢中な奈穂ちゃんが好きだけど、どうやって近づけばいいのか分からない。

高校の時くらい、俺にガツガツいける勇気があればいいのに。

収入も、奈穂ちゃんの方が高い。
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