春永すぎて何が悪い?
私が一瞬その笑顔に心を奪われかけていると、「じゃー4人か。店予約しよー。」と私の場を離れて行った。

いい香りがする。

同級生とは思えないくらい落ち着いてて、技術も確かで、「同期」だったのは運が悪かったな、私も。

ガラス戸の向こうで電話をしてる及川くんの姿を見る。

まあ、かっこいいもんなあ。

ふと何か期待しかけてる自分の心に気付いた。

いやいや、たぶん可愛くてお洒落な彼女がいるよ。

少し距離があるのに、ガラス戸越しに目が合った。

こういうの慣れてなくて目を逸らす。

かっこいい。

その佇まいを少し反芻する。

彼と何かがあったら、いや、何もないよ。
ないないない。

期待するのはよそう。
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