トライアングル 上
祐介の右肩のシャツに血が滲む。
「、、、。」
その血をそっと左手で拭う。
「、、、。」
掌には一面に赤い血。
手についた赤い血を眺め
プランと竹刀を落とし力の入らない右腕を見ながら
右腕から感じる痛みを実感し
祐介は溢れ出す感情を吐き出すように言い放った。
「、、、。」
「殺してやる!!」
チューン!チューン!
弓を持った亮輔の足元に2つの穴が開く。
その目で祐介を確認し
弓を捨てるように投げ
逃げるように走り出した。
直立で
血の滴る右手をブランと下げながら
左手を真っ直ぐ突き出し
祐介が手に握るのは
《『弓道→射つ』から『うつ』→『拳銃』》
デザートイーグルと呼ばれる拳銃。
それを真横に構え
逃げる亮輔に向け
バン!バン!
何度も放つ。
その弾丸をかいくぐり
サッと校舎の陰に身を潜める亮輔。
校舎を背にひっそり祐介を覗く。
「フン!」
右腕に刺さった矢を
邪魔!と言うかのように力任せに抜き捨て
校舎から覗く亮輔めがけ
バン!バン!
尚も射撃を続ける祐介。
「危ない!」
と、覗いていた顔を校舎の陰に隠す亮輔。
はぁ、はぁ、、、
怒りと
晒されている命の危機に
どんどん心拍数が上がり
ヒューヒューと過呼吸に息を吸ってしまう程、
ドクンドクンと鼓動が高鳴る。
スッ
そんな亮輔がもたれていた校舎の壁が突如
赤い鉄筋に変わる。
銃を構えたまま左右を確認する
祐介の周りも
薄暗い
赤の回転灯がチカチカ辺りを照らす
鉄筋に囲まれた
工場のような所にいた。
そこへ声が響く。
「舞台を変えておきました。思う存分戦いなさい。」
その女神の声が、
日常を逸脱した環境が
2人の背中を押した。
「さあ、始めようかのう。」