魔王様は聖女の異世界アロママッサージがお気に入り★
魔王様のアソコはカチカチでした
ベッドの上でラディスは上着を脱ぐと、レイラの上に覆いかぶさってくる。
レイラは目を閉じるが、背中に大きな手が回され、さするように撫でられる。
「ふぁっ」
予想外の場所に刺激を受けて、ぞくりと、レイラの全身をしびれが通り抜けていく。
「……ふむ」
今度は、ぎゅっぎゅっと抱き心地を確かめるように抱きしめられる。
服の上からでもわかる鍛えらえたラディスの胸板に頬を押し当てるように抱きしめられ、顔が赤くなる。
いや、これは誰でも顔が赤くなるはずだ。恥ずかしすぎる。
しかもシーツの中では、ラディスの両足に挟まれているので、全く身動きができない。
「問題なさそうですね」
のんきなシルヴァの声も聞こえてきて、レイラは涙目になる。
「は、離してっ!」
「落ち着いてください。さ、力を使う練習をしますよ」
「れんしゅう?」
レイラが混乱したまま、言葉を繰り返すと、くすくすとシルファが笑う。
「何かされると思いました?」
この状況で勘違いしないほうがおかしいでしょ?
そうは思っても、言い返せず顔を赤くしたレイラを見て、シルファはまた笑った。
「いきなり癒しの力を使えと言っても、何をすればいいかわからないと思います。ラディス様は瘴気の穴を魔力で無理やり塞いでいるのですが、現場におもむくことも多く、体に瘴気がたまってしまっているんですよ。ですから、あなたの力で癒して差し上げて欲しいのです」
いつまでも恥ずかしがっていないで、切り替えよう。
レイラはコクコクとうなずいた。
「わ、わかった……でも具体的にどうすればいいの?」
レイラは言葉の途中で、後頭部を抑えられて、再びぎゅっとラディスに引き寄せられる。
「背中に手を回して抱きしめてくれ」
少しかすれたラディスの低い声に、レイラの心臓が爆発しそうになる。
彼の声はレイラが今まで聞いた中で一番と言っていいほど、いい声だ。
その声から放たれる言葉は、破壊力がすさまじい。
「リラックスして……体の力を抜け」
レイラはラディスの低い言葉に言われるまま、彼の背中に両腕を回して、抱きしめた。
胸に顔が触れたときも思ったが、やはり、かなり鍛えられている。
「集中して、体の中にたまってる黒い影のようなものを探して……」
レイラはラディスの体に意識を集中させる。
レイラは気分が悪くなるような感覚を覚え、影のような気配を感じ取る。
「あ、……わかったかも。なんだか嫌な感じの……」
「そこを癒したいと願うんだ」
そんな願ったくらいで、どうにかなるものなのだろうか。
レイラは目を閉じて、ラディスを癒したいという気持ちを集中させる。
全身がぽかぽかと温かくなってくる。
力が入りすぎて、ぎゅっとラディスの服に回した腕と手に力が入る。
……ん? ちょっとまって?
指先に触れた違和感を、レイラはもう一度確かめようと、ラディスの背中を撫でた。
やっぱり……。
「いい調子ですよ。ラディス様、何か違和感はございますか?」
「問題ない」
ラディスは瘴気が浄化されたことに対して問題ないと言ったが、レイラはそれどころではなかった。
さわさわとラディスの背中をもう一度なでまわす。
これは問題が大ありだ。
「では、ラディス様も公務が続いておりましたし、このままお休みください。私たちは失礼します」
「じゃあ。朝食の用意ができたら来るから!」
シルファとロビィが退室しようとする。
「ちょっと待って!」
レイラは叫んだ。
「すみませんが、夜は護衛の関係で、ラディス様の寝室でお休みいただきます」
「カチカチなんだけど!」
レイラはシルファの言葉を遮って声を上げる。
男三人が、レイラの剣幕にぎょっとした顔をして固まる。
レイラはラディスの腕から抜け出して、飛び起きた。
「私が持ってたカバン! ある?」
「回収してきてはいるけど、なんなの?」
「いいから、早く持ってきて!」
「わかったよ!」
ロビィは走ってカバンを持ってきてくれる。
正直に言うと、未だに自分の状況は言葉で説明されてもはっきり理解できないし、不安だらけだし、余裕も何もないのだけれど。
これだけはわかる。
「聖女の力だかなんだかで瘴気が癒されたって言っても、こんなの全然癒されてないじゃない」
レイラの剣幕に、ラディスも眉間にしわをぐっと深くよせて、怪訝な顔をしている。
「心と体。両方が癒されて、本当に休まることができるんだから」
レイラはこの状態になる人を良く知っている。
だから見過ごせなかった。
「背中、痛くない?」
「……? いや、不快感がある時はあるが、痛くはない」
レイラの剣幕に押されてか、ラディスは律儀に答えてくれる。
「じゃあ、朝、目覚めたときに頭痛がない?」
「よくわかったね。ラディス様は頭痛持ちだけど、特に朝起きたひどいんだよ」
ラディスの代わりにロビィが答えてくれる。
やはり、そうだ。
ラディスは社長と同じくらい……いや、それ以上に体の背面が、がちがちだったのだ。
こんなひどい人、久しぶりにみた。
おそらく社長と同等か、それ以上のワーカーホリック。
そして、このタイプのワーカーホリックは最悪なことに無自覚で無頓着だ。
体のバランスが崩れて、取り返しのつかないところまで気づかない。
「選んで」
レイラはカバンの中から3つの小瓶を取り出すと、ラディスの目の前にずいっと差し出した。
ラディスはぐぐっと眉間にしわを寄せた。
不機嫌なのかと思ったが、彼のこの表情はどうやら無表情なラディスの数少ない表情のようである。
「これは?」
いぶかしく思うのも当然だ。
「これを使えば、体も心も癒されるのよ」
「……あやしいのですが」
よく見ると、ラディスも引き気味だ。
「え? 危険でもあやしくもないよ!」
レイラはひとつ目の小瓶の蓋を開け、開いている手で仰ぐようにして香りを分散させる。
これは社長のために用意した最高品質のエッセンシャルオイル……一般的な純度の高いアロマオイルだ。
本来なら、マッサージをする前にいろいろと手順を踏みたいのだが、何の準備もしていないのでマッサージだけをする予定だった。
「これはアロマオイルっていう精油なんだけど、この世界にある?」
動かないラディスの代わりに横からシルファがひょいと小瓶をつまんでレイラから取り上げると、香りを確認する。
「香りから察するに、植物から抽出したオイルのようですね。似たようなものはあると思いますよ」
シルファは他の2つの小瓶の匂いもかいでから、にっこりと笑った。
「毒物や体に害のあるものではないようですね」
レイラはぎょっとして目をしばたたかせた。
「社長に使うために用意したのに、そんな危ないもののわけないでしょ」
「社長? 社長となんだ」
「社長は、私のいた世界で上司だった人」
「頭痛が軽減されるのであれば、試してみては?」
ラディスが不機嫌そうに眉をしかめたが、シルファはお構いなく話を続ける。
「申し訳ございません、ラディス様には敵も多いですので、念のために確認をすることになっておりまして」
「……魔王って大変なのね」
「ラディスだ。魔王と人間が勝手に呼んでいるだけだ」
「魔族を統率される王という立場で言えば、間違っていはいのですが」
レイラはこくりとうなずいた。
「ではラディスさん。この中から一つだけ、気に入った香りを教えて欲しいの」
「呼び捨てでかまわん」
「わかった……ラディス、一番気になる香りはどれ?」
そういうとラディスはレイラの手に持つ小瓶に顔を近づけた。
レイラの手にさらりと、ラディスの肩まである白銀の髪が触れる。
それだけのことなのに妙にそわそわとして、レイラは早口で説明を続けた。
「これがラベンダー、こっちがイランイラン、最後にレモンね」
ラディスは眉間にしわこそ寄っていたが、真剣に3つの小瓶の匂いを比べ、最終的にレモンの小瓶を指さした。
「ラベンダーというのもいいが……」
ラディスが迷いをみせたため、レイラは説明を続けた。
「好きな香りと、後はその時に自分が惹かれる香りというものがあってね、気になった香りは今現在、心が欲しているって考えもあるの」
レイラはにっこりと笑った。
「さ、香りが決まったら脱いで、うつぶせになって」
「何をする」
「私に全部任せてくれれば大丈夫。頭痛も取り除いてあげる。ついでにリラックスしてぐっすり眠れるから」
硬直したまま全く動かないラディスにしびれを切らして、レイラはラディスの服に手を伸ばしボタンをはずしにかかった。
レイラは目を閉じるが、背中に大きな手が回され、さするように撫でられる。
「ふぁっ」
予想外の場所に刺激を受けて、ぞくりと、レイラの全身をしびれが通り抜けていく。
「……ふむ」
今度は、ぎゅっぎゅっと抱き心地を確かめるように抱きしめられる。
服の上からでもわかる鍛えらえたラディスの胸板に頬を押し当てるように抱きしめられ、顔が赤くなる。
いや、これは誰でも顔が赤くなるはずだ。恥ずかしすぎる。
しかもシーツの中では、ラディスの両足に挟まれているので、全く身動きができない。
「問題なさそうですね」
のんきなシルヴァの声も聞こえてきて、レイラは涙目になる。
「は、離してっ!」
「落ち着いてください。さ、力を使う練習をしますよ」
「れんしゅう?」
レイラが混乱したまま、言葉を繰り返すと、くすくすとシルファが笑う。
「何かされると思いました?」
この状況で勘違いしないほうがおかしいでしょ?
そうは思っても、言い返せず顔を赤くしたレイラを見て、シルファはまた笑った。
「いきなり癒しの力を使えと言っても、何をすればいいかわからないと思います。ラディス様は瘴気の穴を魔力で無理やり塞いでいるのですが、現場におもむくことも多く、体に瘴気がたまってしまっているんですよ。ですから、あなたの力で癒して差し上げて欲しいのです」
いつまでも恥ずかしがっていないで、切り替えよう。
レイラはコクコクとうなずいた。
「わ、わかった……でも具体的にどうすればいいの?」
レイラは言葉の途中で、後頭部を抑えられて、再びぎゅっとラディスに引き寄せられる。
「背中に手を回して抱きしめてくれ」
少しかすれたラディスの低い声に、レイラの心臓が爆発しそうになる。
彼の声はレイラが今まで聞いた中で一番と言っていいほど、いい声だ。
その声から放たれる言葉は、破壊力がすさまじい。
「リラックスして……体の力を抜け」
レイラはラディスの低い言葉に言われるまま、彼の背中に両腕を回して、抱きしめた。
胸に顔が触れたときも思ったが、やはり、かなり鍛えられている。
「集中して、体の中にたまってる黒い影のようなものを探して……」
レイラはラディスの体に意識を集中させる。
レイラは気分が悪くなるような感覚を覚え、影のような気配を感じ取る。
「あ、……わかったかも。なんだか嫌な感じの……」
「そこを癒したいと願うんだ」
そんな願ったくらいで、どうにかなるものなのだろうか。
レイラは目を閉じて、ラディスを癒したいという気持ちを集中させる。
全身がぽかぽかと温かくなってくる。
力が入りすぎて、ぎゅっとラディスの服に回した腕と手に力が入る。
……ん? ちょっとまって?
指先に触れた違和感を、レイラはもう一度確かめようと、ラディスの背中を撫でた。
やっぱり……。
「いい調子ですよ。ラディス様、何か違和感はございますか?」
「問題ない」
ラディスは瘴気が浄化されたことに対して問題ないと言ったが、レイラはそれどころではなかった。
さわさわとラディスの背中をもう一度なでまわす。
これは問題が大ありだ。
「では、ラディス様も公務が続いておりましたし、このままお休みください。私たちは失礼します」
「じゃあ。朝食の用意ができたら来るから!」
シルファとロビィが退室しようとする。
「ちょっと待って!」
レイラは叫んだ。
「すみませんが、夜は護衛の関係で、ラディス様の寝室でお休みいただきます」
「カチカチなんだけど!」
レイラはシルファの言葉を遮って声を上げる。
男三人が、レイラの剣幕にぎょっとした顔をして固まる。
レイラはラディスの腕から抜け出して、飛び起きた。
「私が持ってたカバン! ある?」
「回収してきてはいるけど、なんなの?」
「いいから、早く持ってきて!」
「わかったよ!」
ロビィは走ってカバンを持ってきてくれる。
正直に言うと、未だに自分の状況は言葉で説明されてもはっきり理解できないし、不安だらけだし、余裕も何もないのだけれど。
これだけはわかる。
「聖女の力だかなんだかで瘴気が癒されたって言っても、こんなの全然癒されてないじゃない」
レイラの剣幕に、ラディスも眉間にしわをぐっと深くよせて、怪訝な顔をしている。
「心と体。両方が癒されて、本当に休まることができるんだから」
レイラはこの状態になる人を良く知っている。
だから見過ごせなかった。
「背中、痛くない?」
「……? いや、不快感がある時はあるが、痛くはない」
レイラの剣幕に押されてか、ラディスは律儀に答えてくれる。
「じゃあ、朝、目覚めたときに頭痛がない?」
「よくわかったね。ラディス様は頭痛持ちだけど、特に朝起きたひどいんだよ」
ラディスの代わりにロビィが答えてくれる。
やはり、そうだ。
ラディスは社長と同じくらい……いや、それ以上に体の背面が、がちがちだったのだ。
こんなひどい人、久しぶりにみた。
おそらく社長と同等か、それ以上のワーカーホリック。
そして、このタイプのワーカーホリックは最悪なことに無自覚で無頓着だ。
体のバランスが崩れて、取り返しのつかないところまで気づかない。
「選んで」
レイラはカバンの中から3つの小瓶を取り出すと、ラディスの目の前にずいっと差し出した。
ラディスはぐぐっと眉間にしわを寄せた。
不機嫌なのかと思ったが、彼のこの表情はどうやら無表情なラディスの数少ない表情のようである。
「これは?」
いぶかしく思うのも当然だ。
「これを使えば、体も心も癒されるのよ」
「……あやしいのですが」
よく見ると、ラディスも引き気味だ。
「え? 危険でもあやしくもないよ!」
レイラはひとつ目の小瓶の蓋を開け、開いている手で仰ぐようにして香りを分散させる。
これは社長のために用意した最高品質のエッセンシャルオイル……一般的な純度の高いアロマオイルだ。
本来なら、マッサージをする前にいろいろと手順を踏みたいのだが、何の準備もしていないのでマッサージだけをする予定だった。
「これはアロマオイルっていう精油なんだけど、この世界にある?」
動かないラディスの代わりに横からシルファがひょいと小瓶をつまんでレイラから取り上げると、香りを確認する。
「香りから察するに、植物から抽出したオイルのようですね。似たようなものはあると思いますよ」
シルファは他の2つの小瓶の匂いもかいでから、にっこりと笑った。
「毒物や体に害のあるものではないようですね」
レイラはぎょっとして目をしばたたかせた。
「社長に使うために用意したのに、そんな危ないもののわけないでしょ」
「社長? 社長となんだ」
「社長は、私のいた世界で上司だった人」
「頭痛が軽減されるのであれば、試してみては?」
ラディスが不機嫌そうに眉をしかめたが、シルファはお構いなく話を続ける。
「申し訳ございません、ラディス様には敵も多いですので、念のために確認をすることになっておりまして」
「……魔王って大変なのね」
「ラディスだ。魔王と人間が勝手に呼んでいるだけだ」
「魔族を統率される王という立場で言えば、間違っていはいのですが」
レイラはこくりとうなずいた。
「ではラディスさん。この中から一つだけ、気に入った香りを教えて欲しいの」
「呼び捨てでかまわん」
「わかった……ラディス、一番気になる香りはどれ?」
そういうとラディスはレイラの手に持つ小瓶に顔を近づけた。
レイラの手にさらりと、ラディスの肩まである白銀の髪が触れる。
それだけのことなのに妙にそわそわとして、レイラは早口で説明を続けた。
「これがラベンダー、こっちがイランイラン、最後にレモンね」
ラディスは眉間にしわこそ寄っていたが、真剣に3つの小瓶の匂いを比べ、最終的にレモンの小瓶を指さした。
「ラベンダーというのもいいが……」
ラディスが迷いをみせたため、レイラは説明を続けた。
「好きな香りと、後はその時に自分が惹かれる香りというものがあってね、気になった香りは今現在、心が欲しているって考えもあるの」
レイラはにっこりと笑った。
「さ、香りが決まったら脱いで、うつぶせになって」
「何をする」
「私に全部任せてくれれば大丈夫。頭痛も取り除いてあげる。ついでにリラックスしてぐっすり眠れるから」
硬直したまま全く動かないラディスにしびれを切らして、レイラはラディスの服に手を伸ばしボタンをはずしにかかった。