神様に人の不幸を願ったら、運命の相手を紹介されました
結局、曖昧な笑みを浮かべて受け取り、行きたくない、行きたくない、いっそ、大雪でも降って交通機関が止まればいいと青空を呪いながら会場へ向かっている。

「よしっ、今後の運試し」

傍らのボックスに百円を入れ、引き出しを開く。
そこからおみくじをひとつ、選び出した。
開きかけたものの、止まる。
これで大凶だなんて自分の運勢を再確認させられたら、立ち直れない。
結局、そのまま財布にしまっておいた。

チャペルで永遠の愛を誓い、誓いのキスで喜びの涙を流す花嫁を、醒めた目で見ていた。
本来なら、私があそこに立っていたはずなのだ。
なのになんで私は招待客の席で、笑顔を貼り付けて座っているのだろう。

……ほんと、とんだ茶番だな。

腕を組んでふたりが退場していく。
神様は私のささやかな願いすら叶えてくれないらしく、黒猫は現れなかった。
残念。

ブーケトスはなく、――代わりに。

「これ。
一番の親友の阿澄にあげる。
幸せのお裾分け」

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