神様に人の不幸を願ったら、運命の相手を紹介されました
勝ち誇った顔で花嫁からブーケを渡された瞬間、……なにかが、折れた。

「……私は」

止まれ、口。
そんなことを今更言って、なにになると言うんだ。
でも一度、開かれた口は止まらない。

「本当に、彼のことを愛していた。
本当に愛していたの。
あなたたちを責めなかったのはただ私に意気地がなかったから。
私にだって、人間の心があるんだよ?
なんでも笑って許してくれる、都合のいいお人形じゃないの」

「……」

淡々と私が話し、シーンと周囲は水を打ったかのように静かになった。

「……え、花嫁って花婿を寝取ったのか?」

「……うわっ、最悪!」

こそこそと話す声が聞こえてきて、しまったと思う。
今日は一日、笑顔をキープしてしのぐつもりだったのに。
でも、私の彼氏と平気で関係を持ったのに一番の親友だと言われ、私から幸せを奪ったのに幸せのお裾分けだと言われて、私の限界が初めて、振り切れた。

「……つけあがらないで」

小さな声で呟やいた彼女が、ドレスをきつく掴んだ手は小さく震えていた。

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