ごきげんよう、愛しき共犯者さま
は。
短い、息がもれた。
立ち会いの警察官からは、息子達が住む部屋で寄り添うようにして亡くなっていたと聞かされていたから、ふたりで一緒に逝ったものだと思っていたのに。どうやら、この文面を見る限り、千景はひとりで自らの命を断ったらしい。
だとすれば、伎は、何故……?
家族であろうと努力をした。反抗期も、もちろんあったけれど、千景が病気になってからは兄らしく妹を支える姿が度々見えた。互いに口を聞かない時期もあったけれど、それを乗り越えて、幼少の頃のように仲睦まじい兄妹になってくれていたとは思っていたけれど。
一枚目の便箋を、机の上に置いて、二枚目の便箋へと視線を落とす。
「っ」
父さん、母さん、と、一行目に。
千景が死にました、と、二行目に。
かろうじて読める、ひどく歪んだ文字で、書き綴られたそれ。妹の死を目の当たりにして、これを書いたのだろうことは想像に容易い。
「……たく、み、」
息子の名前を呼び、目を閉じて、眉間を軽く摘まむ。
まだだ。まだ、泣くわけにはいかない。我が子達が遺したものを、きちんと見なければ。
息をゆっくりと吸って、ゆっくりと吐き出す。
さあ、見よう。
決意して、再び便箋へと視線を落とした。