縁は異なもの味なもの
「兄ちゃんさ〜、いつから彼女いたんだよ!
全然わからなかったわ〜」

「最近なんだ〜! オレの片想いがやっと、実ったんだ〜ハハハ!」

「あの〜ご家族になるので、正直に話します!」

「真央〜、過去なんかいいジャン!」

「いいえ、大輔さん、社長や専務も知ってるんだから、キチンとお話しさせて、ね!」

大輔は、小さく頷いた。

「大輔さんが主任として2年前に設計室へ配属された時点で私にはお付き合いしていた彼がいました。

今年の3月に急に海外へ勉強しに行くと言って別れたんです。
でも…海外へ行くというのは嘘で、
浮気相手に赤ちゃんができて結婚するからでした。

落ち込んでいたところに、住んでいたアパートが全焼してしまい、
何もかも燃えて無くなったドン底の私を救ってくれたのが大輔さんだったんです。
大輔さんからは、
いきなりプロポーズされたんですが…

大輔さんは、嘘をついたりしないし、
職場でも真面目で誠実なのはわかっていたのでプロポーズをお受けしました。

でもまさか、働いている会社の社長や専務が親戚とは知らなくて戸惑いはあるのですが…
大輔さんの支えに少しでもなれるように頑張りますので、宜しくお願いします。」

「真央ちゃんは、彼氏に裏切られて破局して火事で何もかも燃えちゃうなんて……」

香代子は涙を流し、ティッシュで目頭を押さえていた。

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