縁は異なもの味なもの
「立川、何笑ってんの?」

「え? このカクテルが気に入ったので、あとで、ボーイさんにカクテルの名前を聞こうと思ったんです。」

「立川…、良かった〜。やっと笑った顔を見たな。」

「え?」

「お前さ、3月の終わり頃から泣き腫らした顔や沈んだ顔だったからさ〜。
何があったんだ? 
彼氏と別れたんだろ?」

「え? どうして…」

「悪りぃ〜、偶然、休憩室で少し聞いてしまったから… すまん。でも、気になってさ。
全部吐き出してみろよ。オレには言えないか?」

「いい歳して、恥ずかしいんです…
私は、人の見る目がなかった。
ただ それだけです…ハハハ…
彼氏は、私には海外に勉強しに行くから、私を何年も待たせる訳にはいかないからって言って、
別れて欲しいと言われました。
でも実際は元カノと浮気して、その彼女が妊娠したみたいです…」

「そうだったのかぁ、辛かったな立川…」

「でも、仕事があるから、何とかやってます。」

「そうだな。これからも頑張ろうな。」


その後は、無口だと思ってた主任は楽しい話をたくさんしてくれた。

私も杏奈以外の人に聞いてもらって、励ましてもらえたからなのか、自然に主任と話して笑ってた。

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