縁は異なもの味なもの
私たちは、タクシーでマンションに一度戻り着替えをスーツケースに入れて、
大輔さんの運転で、佐藤家へ向かった。

「大輔さん、少しは落ち着いた?
私は、まだなんだか… ドキドキしてる…」

「俺は病院の時より、幾分は落ち着いたかなぁ
でもさ、中川がオレを突き飛ばして、刺された光景が… まだ…
アイツの瞬時の判断にはビックリしたし、
まさか小山内さんがナイフを持ってたなんて…
中川には本当に申し訳ない事をした…」

「誰でもできる事じゃあないよね…
中川くんにとって大輔さんは、尊敬してる先輩だから守ったんだと思う…
中川くんのご両親も素敵な方たちだったね」

「うん。自分の息子が俺を庇って刺されたのに俺を守った中川を褒めてあげたいって言ってたよなぁ〜
本当に凄い立派なご両親だと思った。」

「1日も早く 中川くんの傷が治るといいね。」

「ああ、中川には一生頭が上がらないよ。
アイツは、俺の命の恩人だ。」

「本当だね。 もし、刃渡りがあるナイフなら死んだかもしれないんだもんね……
考えたら、本当に怖い… 」

「今 考えたら本当に恐ろしい出来事だわ…」

大輔さんが、信号待ちで私の手を握りしめてきた。私も強く握り返した。


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