縁は異なもの味なもの
大輔さんの案件は全て終了した。

8月から大輔さんと中川くんは、設計室の小野くん、加藤くん、坂本さんのフォローに入った。

中川くんが、井上不動産へ転職する事はまだ誰も知らない。
10月になったら樹専務から通達される事になっていた。

設計士の3人からそれぞれの案件で相談されたり指導する大輔さん。
3人の雑用や、目黒さんのサポートを中川くんがやっている。
少しずつ、スムーズに回っている。

私も、資材部から異動してきた玉木 さつき(25)さんにお手製マニュアルを使いながら、
業務を教えているが資材部にいたので、
設計士が発注する材料の事は説明しなくてもわかってくれて凄く助かっている。
カタログも同じものを使っていたから大体の品番もわかっている。

「玉木さんが資材部だったおかげで、本当に助かります。 
こんなお手製のマニュアルですが、流れはわかりますか?」

「はい! 設計室からの発注を業者に依頼してましたから品物も大体わかります。
ただ…、資材部より細かく確認が必要なので、失敗しそうで、怖いです。」

「そうですねぇ〜。 それにお客様から急に変更されたりすると、返品出来るものは返品しますが出来ないモノもあるのよね〜
出来ないモノの代表的なのは、マニュアルに書いておきました。

玉木さんは資材部だったから、その辺はしっかりわかってると思いますが〜 へへ。
私も返品出来るのかできないのか
頭がぐちゃぐちゃになった事があって…
返品出来ないモノのは、出来るだけ設計士さんにお願いして、次の現場で使ってもらうようにしてます。」

「設計室の仕事は、
気をつけなければいけない事が多いんですね〜」

「慣れてくれば、大丈夫だし、設計士さんからのチェックもあるし、逆にコレは発注しないんですか?と設計士さんに確認したり出来るようになりますよ」

「はい。では坂本さんの発注伝票を入力します」

「はい。 お願いします。」

玉木さんは、本当に良く仕事が出来る人だったので私も教えながら、香織ちゃんの仕事も手伝っていた。
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