Livre magic〜魔法使いの告白〜
一 本の正体
魔法使いであり小説家である僕ノワールは、ただ泣きながら誰もいない街を走っていた。誰もいないことが幸いだ。こんな姿、人に見られるなんて耐えられない。
頭に浮かぶのは、ずっと事件の捜査をしていて仲間だと思っていたオズワルドさんに言われた冷たい言葉。そして、ただ何もせずに僕を見つめるリオンたちの姿だ。
「……もう、何を信じたらいいのかわからない!」
涙を乱暴に拭ったその時、つまずいて僕は転んでしまう。手を伸ばしたものの、地面に打ち付けたところはズキズキと痛む。黒いローブは破れ、血が滲み出ていた
「セラフィア!」
杖を怪我をした部分に向け、呪文を唱える。すると杖から光が降り注ぎ、僕の傷を治してくれるのだ。しかし体の傷は治っても、心の傷はこんな魔法なんかで治らない。
さっきあれほど傷付いたのに、メルキュールだったらもっと早く傷を治せるんだろうなとか、エリカは心配してくれるんだろうなとか、仲間のことを考えてしまう。
頭に浮かぶのは、ずっと事件の捜査をしていて仲間だと思っていたオズワルドさんに言われた冷たい言葉。そして、ただ何もせずに僕を見つめるリオンたちの姿だ。
「……もう、何を信じたらいいのかわからない!」
涙を乱暴に拭ったその時、つまずいて僕は転んでしまう。手を伸ばしたものの、地面に打ち付けたところはズキズキと痛む。黒いローブは破れ、血が滲み出ていた
「セラフィア!」
杖を怪我をした部分に向け、呪文を唱える。すると杖から光が降り注ぎ、僕の傷を治してくれるのだ。しかし体の傷は治っても、心の傷はこんな魔法なんかで治らない。
さっきあれほど傷付いたのに、メルキュールだったらもっと早く傷を治せるんだろうなとか、エリカは心配してくれるんだろうなとか、仲間のことを考えてしまう。