Livre magic〜魔法使いの告白〜
「僕は、ずっと人が怖かった。前世の僕はずっと誰かの顔色を伺って、人が望むように生きなきゃって自分を殺して笑ってた。こうしないとまた独りになる。それが嫌だった。暴力や、愛されない悲しみを、また味わうのが嫌だったんだ」

僕はゆっくりと顔を上げる。リオンは泣いていて、メルキュールは優しい目を僕に向けてくれている。カズは真剣に話を聞いてくれていて、シャルロットは「大丈夫」と言うように微笑んでくれている。そして、そしてエリカはリオンと同じように泣いてくれていた。

僕の胸に温かい感情が広がって、波になっていく。そう、僕は前世で感じたことのない幸せの中にいるんだ。オズワルドさんの言葉なんて、もうどうだっていい。

「ノワールに転生してから、僕は当たり前のことがこんなにも幸せなんだって初めて知った。温かい家族がいて、一緒にご飯を食べたり、話したり、出かけたりすることが、こんなにも温かいなんて知らなかった。そして、メルキュールたちと出会って、仲間や友達の大切さ、愛しさを知った。このことが本当に嬉しいんだ」
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