Livre magic〜魔法使いの告白〜
「前世ってみんなは信じる?」

メルキュールの問いに、リオンは「は?」と声に出ていた。エリカとシャルロットが互いに顔を見合わせ、「ファンタジー小説によく登場するあれですよね?」と言う。

「そうだね。異世界転生も、前世や来世も、魔法のある日常が当たり前のこの世界でさえ小説の中だけの出来事だって言われてる。でも、僕とノワールにはその非現実的なことが起こっているんだ」

メルキュールの言葉に、カズが「どういうことだよ?」と疑いの目を向ける。しかし、メルキュールの態度や口調から冗談というわけではなさそうだとリオンは思った。

「僕とノワールの前世で暮らしていた世界には、魔法というものは小説の中でしか存在しないんだ。その世界に住んでいる人たちは、魔法がない代わりに科学などを発展させ、もちろんこの世界のように貧しい国と豊かな国があったけど、その世界で僕とノワールは幼なじみという関係で生きていた……」
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