泣き顔フライデーナイト


「私のだ。ごめんね、わざわざありがとう」



1年男子から消しゴムを受け取ってお礼を言う。


「どういたしまして」と爽やかに笑って、彼は行ってしまった。



爽やかに笑う、黒髪の男子。

落とし物を拾ってくれるあたり、きっと優しい。



「あらまぁ、これはまた火ついちゃった?」



なんて、冗談ぽく亜子が言う。



「うんー……そうだね」



私の反応に、亜子は目を丸くした。



「え?憂、ちゃんと見た?
黒髪で、爽やか男子で、優しそうな子だったよ!?」

「うん、見てたよ。1年生だった」

「違うでしょ!今までなら金曜日の告白に向けて作戦練ってたでしょう!」



1年生なのは間違いないよ?

そう言うと「ふざけてるの?」となぜか怒られる。

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