泣き顔フライデーナイト
私の反応を見て、亜子は楽しそうに笑った。
「ほぉら、心当たりあるんじゃない。聞かせてよ、その人のこと」
「や、ぅ、ちが……」
「顔真っ赤にしといて何言ってるの。観念しなさーい」
違う違う、本当に違う。
これは、"可愛い"だなんて言われたことなかったから。
男子に免疫があるわけでもないから、そりゃ、あんなに距離縮められたら嫌でもドキドキしちゃうわけで。
それに、えっと、うぅ……
「はぁ……分かったよっ」
この前の合コンのこと、桂木のこと、"可愛い"と言われたこと。
全て亜子に話すと「そっかそっかぁ」と、ニヤニヤされた。
「そうだよねぇ。やっぱりこれが正しい始め方だよねぇ」