泣き顔フライデーナイト
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「ちょっと、本当に行くの?」
「うん。とりあえず顔だけ見に行ってくる」
「心配だなぁ」と、そう言う亜子と駅で別れる。
亜子は、私が桂木のことを意識していると言った。
でも、私はそうは思わない。
だって、桂木は初対面の時から私に突っかかってきたんだから。
そんなムカつく奴のことなんて、好きになる訳ないじゃんか。
電車に乗って、向かう先は私の最寄駅。
この前の学ラン姿を思い出す。
あの制服は、確か最寄駅近くにある高校のものだ。
帰り道によく見かけていたから間違いない。
住宅街にあるあのコンビニでバイトしてるっていうことは、家もあの辺りなのかな?