捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「そして、こっちが産まれたときの瑠偉。とっても大きかったのよ」
そこにはまだ生まれたばかりの瑠偉が映っていて、元気よく泣いている写真もあった。
少しずつ大きくなる様子がたくさん収められていた。
「俺も大きかったと聞きました」
この姿を見られなかったことがとても残念な気持ちと、写真でも愛しさを感じて、俺は涙腺が緩みそうになるのを耐えつつ口を開いた。そんな俺の言葉にお母さんは納得したような表情を浮かべた。
「それで瑠偉も。遺伝ね」
そんなその生まれたばかりの瑠偉の写真を見ていて、俺は一つ気づいた。そのどれにも紗耶香が映っていないのだ。
「紗耶香がいませんね」
つい思ったことが声に出ると、お母さんが初めて少し表情を曇らせた。
「そうね。いろいろ大変だったから」
「え?」
そう言ってしまって、お母さんは慌てたように口を閉じた。