捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「いやだ、紗耶香に聞いてないのね。じゃあ聞かなかったことにして。祥吾くんに気にさせたくなかったんだと思う」
お母さんの勘違いをいいことに、俺は会話がないから聞いてないなどともちろん言えなかった。
しかし俺は気になって仕方がない。紗耶香がこの写真にいられなかった理由。

「教えてください」
真剣な面持ちでお母さんに尋ねれば、困った表情を浮かべた。

「でも……」

「お願いします」
躊躇するお母さんに俺は頭を下げ続ける。俺は知らなければいけないのだ。
自分の罪がどれだけの物かわからなければ、紗耶香に償うことができない。

少し表情を曇らせた後、お母さんはぺらぺらと数枚アルバムをめくる。
そこには、酸素マスクにたくさんの機械や点滴が付けられ、意識のない状態の紗耶香の横に、泣いている瑠偉が寝かされている写真だった。
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