捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「しばらく意識はなかったけど、瑠偉に会いたいかなって思って勇逸撮った写真」
その写真の中の紗耶香は血の気がなく、いかに深刻な状態かを物語っていた。
「なかなか生まれなくて、丸っと二日が経って、そこで瑠偉の首にへその緒が巻き付いていたこともあって、心拍が下がってきちゃって。緊急で帝王切開になったの」
そこまで言われ、俺は自分の息子が産まれる時にそんなことがあった事すら知らなかったことに、胸が押しつぶされる。
「そこまではよかったんだけど、出血がかなり多かったうえに、子宮の伸縮が悪くて手術が難航してね。一気にショック状態になって、一時危なかったの」
まさか生命の危機に瑠偉を産むことで陥っていたことに、俺は目を見開いた。
確かに出産は命がけと聞くこともあったが、どこか他人事でまさかそれが紗耶香にも起こっていたなんて。
ただでさえ男なんてなにもできないのに、その場にいることすらしなかった俺はどれだけ最低なのだろう。