捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「緊急で搬送され、一カ月ぐらいかな。総合病院に入院してたの。とても母乳やら世話なんて出来る状態じゃなくてね。だから紗耶香がいないのよ」
お母さんは思い出すように言うと、小さく息を吐いた。
その話に俺は呆然とするしかなかった。俺はいったい何をしていたのだ。
再会してからだって、どれだけ紗耶香を傷つけることをいって苦しめたのだろう。
こんな思いをして産んだ瑠偉の親権を取り上げるなんて。
最低な俺を紗耶香が許してくれることなんてあるのだろうか。
「祥吾くん?」
「俺はいったい何をして……」
つい呟いた俺に、お母さんは悩んだ表情の後、言葉を選ぶように口を開いた。