捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「あれぐらい大きな会社ならばきっと、確かな証拠を集めていただろうし、立花が犯人だという証拠が出たのなら、確実に損害額を考えても訴えられていただろうな」

「え?」
反論することばかり考えていたが、確かに証拠を揃えられれば私の方が立場が弱かったかもしれない。

「別に東和社長の肩を持つわけじゃないぞ」
専務はそう前置きした後、私に視線を向けた。

「俺だったら、もし相手が鏡花で同じ状況になったら、たぶん許せないけど、犯罪者にもしたくない。そんな複雑な気持だな」
その言葉に私は唖然とする。まさか、あの時の祥吾さんがそんなことを考えていたのだろうか?
いや、私のことなんて遊びだったはずで……。
いろいろな事が頭を廻っていると、専務は優しい笑顔を浮かべた。
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