捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「何はともあれ、瑠偉くんの為にも、きちんと話をするべきなんじゃないか? 俺はもちろん立花がそんな漏洩などする人間じゃないのは解っている」
その言葉に、私は少しだけ反論したくなる。
「専務ですら信じてくれるのに、あの時あれだけずっと私と一緒にいたのに、彼は私を信じてくれなかった」
ただ言葉が零れ落ちるように言った私に、専務はポンと私の肩を叩く。
「一緒にいすぎたからじゃないか」
「え?」
ぼそりとつぶやくように言った専務の言葉がよく聞こえなくて聞き返したが、専務は私にまじめな表情を向けた。
「とりあえず五年前のことをきちんと話をするべきだな。早く帰れよ」
そう言うと、専務は自分の部屋へと戻って行ってしまった。