捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました


「ほら、瑠偉。きちんと着ような」
「はーい」
祥吾さんの腕の中で、キャキャとしながら返事をした後、瑠偉は一生懸命パジャマを着ようと頑張っていた。

「紗耶香、あるものでよければご飯食べていけば」
お母さんの声に、私はつい祥吾さんを見れば頷いてくれる。
その表情が今までと違い、何かを悩み考えているように見えるのは私の気のせいだろうか。
そんなことを思いながらも、いつのまにか祥吾さんは瑠偉の着替えの手伝いをしていた。

「紗耶香、少し手伝って」

「ああ、うん」
キッチンから聞こえた母の声に、私はそんな二人から視線を外すとキッチンへと向かった。
そのままなし崩しで夕飯を家族で食べることになってしまったが、いまだ状況が飲み込めない。
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