捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「遅くなったな。紗耶香先にお風呂入って」
柔らかく頬にキスを落とされながら言われたその言葉に、私はドキっとする。
「え?」
つい反射的に答えた声が裏返り、今度は完全にバレてしまったようで祥吾さんはクスリと笑った。
「紗耶香が許可をくれるまで、絶対抱かないから安心して。でも、瑠偉も喜ぶし一緒のベッドでは寝て欲しい」
恥ずかしくなって俯いた私だったが、拒否する言葉が思い浮かばず黙り込む。
「ずるい事言おうかな。瑠偉と寝たい」
本当にずるい。私が瑠偉を出されたら断れないのをわかっていて。
「本当にずるい」
軽く睨みつければ、祥吾さんの唇が綺麗な弧を描く。