捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「俺、まだ仕事が残ってるから先に入って。瑠偉がもし起きても俺が見るからゆっくりはいっておいで」
そう言われれば、もはや私には拒否する権利はない。
「ありがとう」
浴室へ行こうとリビングを出る時に、振り返れば祥吾さんはもうパソコンを開いて真面目な表情をしていた。
軽薄そうなのは見かけだけの祥吾さん。
自分の気持ちを持て余しながら、私は久しぶりにゆったりと湯船に身体を埋めた。
部屋着を着て、メイクを落とした鏡に映る自分を見て急に恥ずかしくなる。
この姿で一緒に寝る? 瑠偉を産んだ後、職場でも武装するようにメイクも服装もばっちりにしていた。この無防備な自分がやけに不安になる。
このまま一緒のベッドに? 眠れる気がしなくて小さくため息が漏れるも、結婚しようとしているのに、今更そんなことを思っても仕方がないと覚悟を決める。