捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

静かに浴室をでると、リビングの扉を少しだけあけて、こっそりと中を伺う。
さっきと姿勢の変わっていない祥吾さんに声を掛ける。

「お先にありがとう。祥吾さんも入ってね」
その言葉に祥吾さんが私の方へと視線を向ける。

「なんでそんなところにいるんだ?」
こっそり少しだけ顔を出している私に、祥吾さんは不思議そうな表情を浮かべる。
「なんでって……」
この無防備な格好をみせたくないなど言えず、口ごもると祥吾さんが立ちあがるが解る。

「あっ、えっと。おやすみなさい」
言い逃げをするように言えば、祥吾さんはこちらに向かおうとしていた足を止めた。
それにホッとする。

「おやすみ。ちゃんと俺のベッドに行けよ」
しかし、最後はやはり言葉で責められ、私はキュッと唇を噛んだ。

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