捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「おやすみ」
それだけを言うと、私は逃げるようにその場を後にした。
そっと祥吾さんの部屋の扉を開けると、いつも仄かに香る祥吾さんの爽やかな香水の匂いがした。
こないだは泣きながら瑠偉を連れて行っただけだったので、まったく祥吾さんの部屋の中を見ていなかったが、
今日はゆっくりと見回す。
一五畳ぐらいあるだろうか? かなり広い部屋に大きなベッドと、繋がっているが、ドアで仕切れる書斎。そこは落ち着いたダークブラウンの木でできた家具でそろえられており、パソコンや書籍を初め、天体望遠鏡などもあった。
少しの間祥吾さんの部屋を探索した後、ベッドに向かいすやすやと眠る瑠偉を見ながらベッドサイドに座る。
ちょうど真ん中に眠る瑠偉に私はそっと右端に身体を滑り込ませた。
真ん中に瑠偉がいてくれれば、祥吾さんと触れることはない。
そう思い、いつものように瑠偉に身体を寄せる。
しかし、どうにも祥吾さんの香りに包まれていて、寝付けずスマホを見ながらぼんやりとしていた。
そんな時、廊下で音がして祥吾さんがこちらに来るのが解り、慌ててスマホを置き寝たふりを決め込んだ。