捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「よかった。キスは紗耶香が嫌そうじゃなくて」

「キスは……ね」

そのセリフに恥ずかしさから、またもや可愛くない言葉がこぼれ落ちてしまった。

「わかったよ。時間をかけても俺の身体だけじゃなくて俺自身を好きにさせるから」
少し拗ねたような声とともに、もう一度チュッと私にキスを落とす。

そして、祥吾さんはギシっと音を立てると立ち上がり、左側へと横たわった。

そう言えば、昔は好きだったって言ってない……。

ずっと祥吾さんは私が身体だけの関係を求めていたと思っている。
どんな女よ。そうは思うもまだ昔の気持ちを話すことはできない。

今はまだ瑠偉を真ん中にして眠る私達。

今の自分の気持ちがきちんとわかったら。そうしたらきちんと気持ちを伝えたい。
そう思っていると、柔らかな声が降ってくる。
「沙耶香、おやすみ」

「おやすみなさい」
眠れない、そう思っていた私だったが、祥吾さんの香りに包まれゆっくりと眠りにおちていった。



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