捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

そこには銀行の入出金があり、俺それをジッと見つめる。

「怪しい金の動きがあったのは、副社長の斎藤相馬だな」
龍のセリフを聞きながら目を向ければ、そこには確かに大金の記載があった。
「ちょうどあの頃、一千万の入金がある」

「この会社は?」
「実在しなかった」

入金先の会社に聞き覚えがなく俺が問えば、案の想像通りの答えが返って来て、用意周到に図られたことがわかる。

あの時もっときちんと調べていれば。そんな後悔が押し寄せる。
紗耶香だと思い込んで、それ以上大事にしなかったことが裏目にでたとは。実在しなければ、怪しいだけで証拠とはまったく言えない。きっとこれだけ追及してもうまくごまかすだけだろう。

そんなことを思っていると、龍が意外な言葉を発した。
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