捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
会社から二駅程離れたこじんまりとした喫茶店で、俺と龍は村本と待ち合わせをしていた。

すぐに現れた村本は、履歴書で見ていた時より、幾分大人になっていて俺と龍を見て静かに頭を下げた。

「ご無沙汰しております」

「座って。わざわざ呼び出してすまない」
俺の言葉に、村本はゆっくりとうなづくと静かに俺達の目の前の椅子へと腰を下ろしすぐに口を開いた。

「五年前のことですか?」

意思をもった瞳での村本に、直感的に彼は信用できる人間のような気がした。今も大手の企業に勤めているようで、身なりもしっかりとしている。
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