捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

まだ紗耶香は実家だろうか?

そう思いながら紗耶香に連絡を入れれば、ツーコールで紗耶香が電話に出た。

『もしもし?』
「まだ実家?」
俺の言葉に電話の向こうから瑠偉の声が聞こえる。
『今家に帰ってきたところ。祥吾さんは?』

「今から帰るよ」

『パパ、もう帰って来るって』

そんな声が聞こえたと思えば、いきなり電話から可愛らしい声が聞こえる。

「パパ、いっしょにおふろはいれる?」

「ああ、入ろう」

そう答えれば嬉しそうに「うん」と返事が聞こえすぐに瑠偉の声は聞こえなくなった。

『ごめんね。お風呂入れる?』

「ああ、瑠偉とも約束した。後三十分もあれば帰れるから」

『わかった。気をつけてね』

その言葉を聞いて、俺はスマホの電源を消す。こんな些細なやり取りが嬉しくて仕方がない。帰る家があり、待っていてくれる人がいることに幸せを感じづにはいられなかった。

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