捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「眠れないのか?」
静かに問われれば、私は素直に言葉にする。

「明日のこと。なんか緊張しちゃって」

「そうだな」
祥吾さんも同意すると、私と向かい合うように私の顔を覗き込む。

「やっぱりあんなふうに辞めた会社に行くのは緊張するな……」

どうしても明日は、東和本社の商品開発室を使う必要があり、辞めてから初めてあの会社へと行く。

「無理してこなくてもいいんだぞ」
チュッと私の頬にキスをしながら、いたわる様に祥吾さんが言葉を発する。

私のことを考えてくれるのは嬉しいが、私は小さく首を振る。
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