捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「立花」
名前を呼ばれ、いつの間にか目の前にいた大村専務が私のデスクに書類を置いたのに気づく。
「大きなため息だな」
クスリと笑った専務に、私は慌てて口元を押えた。
「ありがとうございます」
書類を手にして、ポーカーフェイスをすると私は書類に目を向ける。
「その後どうなんだ? 一緒に住んでるんだろ?」
仕事以外の話を振ってきた専務に、私は驚いて顔を上げた。
「どうなんでしょう」
素直に答えると、私はまたため息を付きそうになり慌ててそれを止める。
「どうって、自分のことだろ」
苦笑しながら問いかけられるも、一番わからないのが自分の気持ちだ。
「あまりにも昔のことをひきずりすぎて、素直に信じるのが怖いのかもしれません」
私の言葉に専務は少し考えた後、口を開いた。