捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「はあ?」
本当に何をいっているのだろうというのが解るその声に、私は言葉を続ける。
「祥吾さんぐらいの人なら婚約者がいたのも理解できるけど、子供はいなかった……」
「紗耶香、ちょっとまて」
祥吾さんは本当に慌てていたようで、カップをテーブルに置くときに大きな音が響く。
「何の話だ?」
「え? 何って結婚してたんじゃ……」
「誰が?」
その問いかけに私は混乱してしまう。どうして私は妊娠を告げなかったのか。一番は結婚する人の邪魔をしてはいけないと思ったからだ。
「誰って……祥吾さんが……」
「俺は結婚なんて一度もしてない。昨日もこの五年誰も抱いてないっていったよな。結婚してたらそんなことありえないだろ?」
心底呆れたように言われた言葉に、私はその通りだと思う。