捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
周りを伺うように入ってきた、彼女。そう紗耶香が慕っていた結城に俺はにこやかな笑みを浮かべた。
「悪かったね。終業後に呼び出して」
俺の言葉に結城は綺麗な微笑みを浮かべると、小さく首を振った。
「いえ、社長からの呼び出しに答えないわけありません」
「今日の仕事はもう終わってる?」
今現在結城には秘書の全体の教育や、管理を任せている。
「はい、秘書課は優秀な人材が多いので」
「そう。君のお陰だね」
心にもないことを言うのがこれほど疲れるかと俺は思うも、俺は静かに席を立ちあがった。
昔から俺を知る結城なら、もし、本当に結城が黒幕なら。
その思いで昔を思い出して、少し髪をかきあげて結城に甘い瞳を向ける。