捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「祥吾さん、私と二人で話をさせてくれますか」
いきなり俺にそう言った紗耶香に、俺は驚いて声を上げる。

「そんなこと出来る訳ないだろ。もしこいつが紗耶香に何かをしたら」
そんな俺に、結城は紗耶香をうつろな瞳で見つめた。

「初めからきちんと両思いだって言ってくれればよかったのに」
その言葉の意味が解らなくて俺は言葉を止めた。

「私の片思いだと思っていたんですよね?」
紗耶香の言葉に結城は小さく首を振った。

「それは違う、五年前の私のしたことできっとすれ違っている。そう思っていたのよ」
「え?」
結城の答えに紗耶香が少し驚いたように声を上げた。

「知ってた? あの頃、たくさんの女性と遊んでいたように見えて、社長は絶対に社内の人間にとは関係を持っていなかったのよ」

その言葉に、紗耶香が少し考えるような表情を浮かべたが、確かに結城の言うとおりだった。絶対もめごとが起きるのが嫌で、絶対に手を出さなかった。社内の人間とは関係をもったのは紗耶香だけだ。
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