捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

そう思いだしていると、結城が紗耶香に言葉を続ける。

「それが、紗耶香と関係を持っているって知って、私は焦ったのよ。もしかして初めて社長が本気になったかもしれないって」

そこまで結城が言ったところで、紗耶香が俺を見る。

なんとなく話の流れが分かった気がして、部屋を出ようとするもそれを結城が止める。

「いいんです。ここにいてください」
静かで何の感情も見えない結城の言葉に、俺は歩き出した足を止めた。

「本当に申し訳ありませんでした。自分の欲の為に二人の人生をめちゃくちゃにしました。警察にでもどこにでも突き出してください」
そこで室内がシーンと静まり返る。そこで今まで声を発しなかったため、気づかなかったが紗耶香と一緒に来ていた龍が声を発した。

「立花さんのパソコンから送信したのは誰?」

「それは長谷川部長です。でも彼に紗耶香を犯人に仕立てるのが適任だと助言したのは私です。そうすれば社長も失脚すると。長谷川は副社長と結託していましたし、利害が一致したんです。そして私は二人を別れさせられる」
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