捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
なんとなく今までの話の流れで、俺に好意を持っていたことがわかった。しかしだからといって許されるわけもないし、許す気になどならない。俺が口を開こうとしたところで、紗耶香が結城の前へと歩いて行くのが分かった。
バシッ。その音が室内に響く。
そこで紗耶香が思い切り結城の頬を叩いたのがわかった。
「あなたのせいで私の人生はめちゃくちゃになりました。でも、人を好きなる気持ちはわかります。どうして私がいなくなったのに、きちんと告白しなかったんですか?」
怒りを含んではいるが、静かな紗耶香の声に、結城は頬を押えたまましばらく考える表情を浮かべた。
「そうね。どうしてかしら」
それ以上結城はなにも答えることはしなかった。
「連れて行きます」
龍の言葉に俺も静かに頷いた。その言葉に立花は立ち上がると静かに部屋を出て行こうとした。