捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「紗耶香、本当にごめんなさい。謝って許されるなんて思ってない。でも、やっぱり何があっても貴方たちは一緒になる運命だったのね。信じてもらえないと思うけどホッとしてるのよ」
最後の方は小さくて呟くぐらいの声だった。俺は紗耶香の側に行くと肩を抱き寄せる。
俺は全く彼女に同情をする気も、許す気もないし、今でも罵倒を浴びせたい。しかしきっと紗耶香はそれを望まないからさっき自分で制裁を加えたのだろう。
結城の言葉に、紗耶香は何も言葉を発しなかった。
後のことはまた明日でもいいだろう。今は紗耶香が一番だ。
「龍、また報告してくれ」
「はい」
それを察していたようで、龍は小さく頷いた。和泉さんには悪いが後は龍に今日のところは任すことにする。
「紗耶香、帰ろう」
今にも泣きそうな紗耶香に、俺はゆっくりと語り掛けた。
放心状態の紗耶香を車に乗せると、俺は紗耶香の実家へと電話を掛ける。
お母さんに瑠偉の様子を聞きつつ、今日一晩、面倒を見てくれるか尋ねる。
理由を話そうとすると、それを聞かずお母さんは一つ返事で了承してくれた。