捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「うん、そうだな」
俺も上手く言葉にすることが出来なかった。自分に好意があったせいで、紗耶香にひどい目を合わせたのだから、自分にも責任がある気もする。しかし、そんなことを紗耶香に言っても、絶対に怒るのもわかっている。
「でも、やっぱり五年前、お互いが信じられなかったからいけなかったんだよね」
紗耶香の言うとおりだ。あんなに同じ時間を過ごし、身体を重ねていたのに、少しの結城の揺さぶりに俺達は翻弄され、お互いを憎しみ合ってしまった。
そして、大切な時間を過ごすことが出来なかった。
「これからは絶対なんでも話して行こう」
俺の言葉に、紗耶香も力強く頷いた。
その後二人でゆっくりと湯船につかり、ただ触れるだけのキスを何度もして、抱き合ってベッドに入った。
俺が紗耶香の悲しみも、辛さもこれからは一緒に受け止めて行けるように。そんな思いを込めて紗耶香を抱きしめた。
「一生俺が守るから。安心しておやすみ」
柔らかな甘い香りの髪にキスを落とすと、泣き疲れたのか小さく頷き紗耶香は眠りについた。